ヘルパンギーナと手足口病

ヘルパンギーナと手足口病とはどのような疾患なのでしょうか。

 ヘルパンギーナと手足口病はよく似た疾患です。一見全く違ったような症状であることから、違った疾患に見えますが、二つの中間形と思える症状を示す患者さんが少なくありません。両者ともエンテロウィルスと呼ばれるRNAウィルスの感染によって発症する疾患であることから、よく似た部分があるのは当然と言えます。手足口病は3日から6日の潜伏期の後に、手と足および時に臀部に水泡が出現します。大きさは1mmから7mmの前後まであり、はっきりと水泡になるものから、紅斑のものまで患者さんによって異なった形をとります。口内炎も手足の発疹とともに見られます。口腔内全体に見られることが多く、形状も、水泡からアフタと呼ばれる白い粘膜疹、潰瘍を作るものまで種々見ることができます。発熱は発疹出現とほぼ同じに見られますが、発熱のないことが多いようです。ヘルパンギーナは口腔の粘膜疹が見られる点では手足口病と同じですが手足の発疹は見られません。喉の痛みは手足口病よりやや強く、発熱の頻度も多少高いと言えます。典型例ですと両者の鑑別は容易ですが、手足口病で発疹があせもと区別できない程度に軽微だと、区別が難しいことが少なくありません。両者は親戚関係の病気であることから治療、予後を考える上で必ずしも厳密に鑑別する必要性はないと言えます。手足口病の原因ウィルスとしてはコクサッキィーA16、エンテロウィルス71が代表的ですがそれ以外にもあるとされています。ヘルパンギーナはさらに多くのエンテロウィスルが原因ウィルスとして知られています。どちらの病気も2回、3回と繰り返して罹るのは、原因ウィルスが単一のものではないからです。

どのような合併症があるのでしょうか

 合併症としては髄膜炎、脳炎が知られています。脳炎とは大脳、小脳に炎症をおこし脳細胞が障害されるため死にいたることもめずらしくなく、治癒しても神経の後遺症を残すやっかいな病気です。髄膜炎とは大脳、小脳を被っている脳脊髄膜と呼ばれる被膜に炎症が起きた状態を指します。脳組織と髄膜は密着していますが、髄膜炎から脳炎に移行することはほとんどなく、全く別の病気と考えて良いと思います。細菌性の髄膜炎は脳障害を起こす恐い病気ですがウィルス性髄膜炎は脳障害を起こすことのない病気です。脳炎を合併しますと意識障害が急速に進行し痙攣の頻発、昏睡が見られます。髄膜炎を起こしますと、頭痛、嘔吐等の症状が見られます。髄膜炎、脳炎は手足口病、ヘルパンギーナともに発症と同時か2ないし3日後に出現します。すなわち手足口病、ヘルパンギーナは発病後3日経ってなにもなければ心配ない病気と言えます。また全てのエンテロウィルスが髄膜炎、脳炎を起こすわけではなく、エンテロウィルス71の他一部のものが原因となりますので、どのウィルスが流行しているかも、大事な情報です。

感染力を示す期間はいつでしょうかまた治療はどのようにするのでしょうか。

 感染力は症状出現数日前より認めますが、発症後は手足口病、ヘルパンギーナとも感染力はほとんどありません。

 特別な治療はありません。個々の患者さんによってその症状に応じて対応することになります。

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