病気とお風呂

 

病気の時なぜお風呂に入ってはいけないのでしょうか

 病気の時、お風呂にはいってはいけないとよく言われ、また広く信じられています。しかし科学的な根拠はあまりありません。お風呂にはいったから風邪をひいた、湯ざめをしたから風邪をひいた、風邪の時お風呂にはいって肺炎になったとよくいわれますが、それはなぜなのでしょうか。それは日本では昔より、銭湯があったからなのです。風邪の研究が進み風邪はウイルスや細菌による感染症であることがわかってきました。お風呂そのものが悪いのではなく、狭い空間に多くの人が集まり、そこで人から感染させられていたため、お風呂で風邪にかかったのです。欧米では銭湯という施設はありません。そのためお風呂にはいると風邪をひくという考えはありません。

お風呂に、はいっていけないのはどのような時なのでしょうか。

 お風呂に入ると毛細血管が拡張し心臓や肺に多少負担がかかり、また炎症も拡がることがあります。特に熱いお風呂に入る時に問題となります。例えば捻挫をした時は局所を冷やさなければいけないのですが、そんな時熱いお風呂に入ると炎症が拡がり捻挫に良くないことが知られています。しかし、そんな時でも熱くないお湯に短い時間入る、またはシャワーで体を流す程度でしたら問題ありません。又、心臓や肺に多少負担がかかるとはいってもそれで問題になるのは、重い心臓疾患や、肺疾患のある人に限られます。元気なこどもでしたら特に問題ありません。

風邪をひいていてもお風呂に入れましょう。

 こどもは新陳代謝が活発ですから、体には多くのアカや、脂肪分が付いています。特におむつをしているこどもの皮膚は汚れがちになります。それらは拭いただけではなかなかとれませんので、お風呂にいれて洗ってあげてください。皮膚の清潔が保てないと、湿疹やとびひ(伝染性膿痂疹)、おむつかぶれの原因になります。風邪のときお風呂にはいっても、風邪が悪くなることはありません。安心してお風呂にいれてください。

熱のあるときでもこどもの状態をみてお風呂にいれてください。

 熱がある時に熱いお湯にはいると、熱が上がり過ぎますのでよくありません。しかし37℃程度のお湯でしたらかえって熱は下がります。37℃のお湯はほとんど水風呂に近い感じがします。実際に欧米では、熱が高い時は37℃程度のお風呂に入れるよう、医師が患者に指導します。日本人は、このような指導にあうと、皆とても驚きます。しかし科学的には欧米流の考えが正しいといえます。熱が高くてぐったりしている時に無理にお風呂にいれるのはよくありませんが、多少熱があってもこどもが元気ならお風呂にいれましょう。その時の子供の状態や熱の状態を見て、お湯の温度や時間を加減し、またはシャワーだけ、あるいはおしりだけ洗う等の工夫をしてください。こどもの体は常に清潔に保つようにしましょう。

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